日本は世界保健機関(WHO)の人口統計で超長寿国の一つであり、かつ国民皆保険を50年以上堅持してきた稀有な国である。しかし、高齢化社会となり、医療費が国家財政、地方財政、企業健保財源を圧迫し、限界に近付いているのも事実である。この現実を逆手にとって、住民移動の少ない地方市町住民の生活習慣(食/住/労働/睡眠)に関して、個人を匿名化したデータベースを作る。これを利用して健康管理・未病・予防医療・疾病の二次予防、リビングウイルに至るまで、住民が納得できる形で計画・介入・実践して、健康長寿を図る。
これらの実践には、生物統計、公衆栄養、公衆衛生、社会福祉、臨床看護、実臨床などの専門性を有する人達が大学、行政、企業とコンソーシアムを組む。そして健康維持・医療・介護分野で総合的にデータ収集(データベース化)・解析し、可能な介入・改善を実践して、地域(市/町/県)の課題を解決する。
このプロジェクトは本学の直・近未来構想の一つに挙げて、実践する予定である。本学には社会福祉学部・看護栄養学部、国際文化学部および関連する2大学院があり、これらを実践することは可能である。その一例として、分子状水素(周南地域の工場で超高純度で生産)を医療用・健康維持用ガスとして利活用する。また、個別プロジェクト(計画中の長州ながと健幸百寿プロジェクトなど)の中でも、水素関連産業を育成する。
これらを実践する中で、日本で一番不足している職種『ニーズとシーズを結び付けるコーディネーター』を育成する。学生・大学院生・教員を現場に投入して、ニーズや現場の課題を集め、大学の研究室や企業の持つ知識・技術・開発能力を製品生産に繋げ、上手く行けばベンチャー企業も起こす。これらの健康・医療・介護関連データを一つのシステムとして、10~20年遅れで高齢社会となる、アセアン諸国・中国等に展開する。当面は国家戦略として各国との外交の要の一つとし、将来的には外貨を稼ぐ。