山口市は今月8日、山口市新本庁舎整備専門会議(委員長:鵤心治山口大学大学院創成科学研究科教授)を開き、新本庁舎の建設予定地周辺で行った断層調査研究結果を公表した。それによると、整備区域には活断層は認められなかった。これを受けて渡辺純忠山口市長は「活断層はないとの評価を頂き、安堵した。新たな本庁舎が、防災拠点や災害対策活動の司令塔として、安全・安心な庁舎になるよう検討を進めたい」と述べた。今後は、6月末をめどに調査結果などを盛り込んだ山口市新本庁舎整備基本計画の策定を終え、その後、設計業務に係る発注手続を行う。
この調査は現本庁舎及び中央駐車場の整備区域に活断層が分布するかどうか、分布する場合にはどの位置にどのような姿勢で存在するのかを明らかにするために行ったもの。今年2月25日から3月1日まで、浅層反射法地震探査や空中写真を用いた地形判読、既存資料の検討を行った。
その結果、地下には基盤岩の風化度に変化をもたらすような褶曲(しゅうきょく)や断層が存在するものの、基盤岩を覆う第四紀の堆積物には断層活動による変位が認められなかった。このため、この区域は第四紀に繰り返し活動した証拠を有する活断層ではないと評価した。
調査結果について山口大学教育学部の楮原京子准教授は、本庁舎整備区域には「繰り返し活動した証拠を有する活断層はない」と評価。しかしながら「現在の知見や技術を以てしても、地震をはじめとする自然災害の精微な予測は未だ完全ではありません。新庁舎には災害への対策や備えをしっかりと講じて頂きたい」とコメントした。