株式会社防長経済新報社

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 2019年7月18日

  • 経済

 上半期倒産集計 負債総額25件61億6,846万円  (株)防長経済リサーチ本社

 倒産件数は平成年代に入り2番目の少なさ

  特別清算の1件(負債50億円)が負債総額を押し上げる
 個人対象の消費関連企業の倒産が目立つ 

 

   (株)防長経済リサーチ本社が集計した「平成31(令和1)年上半期(平成31年1月~令和1年6月)に負債総額1千万円以上を抱え事実上倒産した山口県内の企業は25件、負債総額は61億6,846万円だった。

 平成30年上半期の倒産件数34件・負債総額35億8,500万円と比較すると件数は9件の減少、負債総額は25億8,346万円の増加となった。
 上半期での倒産件数は過去10年で比較すると件数は9番目(最高は平成22・25年の44件、最少は同29年の22件)、負債総額は6番目(最高は同24年の119億2,985万円、最少は同29年の24億,700万円)。また、平成年代に入ってからの比較では件数は2番目の少なさ(最高は同13年の124件、最少は同29年の22件)、負債総額では8番目の少なさ(最高は同15年の980億9,200万円、最少は同29年の24億3,700万円)であった。
 倒産企業・個人経営体の内訳は法人企業13件(負債総額56億9,346万円)、個人経営体12件(同4億7,500万円)と、個人事業体の倒産が多かった。負債総額1億円未満は20件(負債総額3億9,846万円)、1億円以上5 億円未満が4件(同7億7,000万円)、10億円以上の倒産は1件(同50億0,000万円)で、萩市の(株)JMC(特別清算)が全体の負債総額を大きく押し上げた。その1件を除いた24件で計算した1件平均の負債総額は4,868万円と小規模倒産中心の内容であった。尚、負債50億円以上の倒産は平成21年10月の防予汽船(株)(民事再生、負債97億円)以来のことであった。
 倒産企業体の業種内訳は卸小売・飲食業とサービス業がともに最多で7件ずつ、次いで建設関連業が5件、不動産が3件、製造業が2件、農林・漁業が1件であり、一昨年あたりから続く、個人対象の消費関連企業の倒産が目立つ内容となった。倒産原因は売上不振が最多の21件、設備過重が2件、採算割れと過少資本が1件ずつであった。倒産形態は破産が最多の22件、他の3件は法的着手、特別清算、銀行取引停止で、民事再生法の適用は見られなかった。倒産企業のパートを含む従業員数は69名(前年上半期182名)であった。
 地区別では宇部市、山口市が5件ずつで最多、次いで下関市が4件、山陽小野田市、周南市、萩市が2件ずつ、美祢市、防府市、柳井市、岩国市、阿武郡がそれぞれ1件ずつであった。倒産は県内に広く分布したが、県央部から西部地区の倒産が全体の約7割を占めるかたちとなった。
【今後の見通し】
 各金融機関による中小・零細企業への手厚いサポートの継続や、ここ数年続く建設関連業の活況などを受け、企業倒産は依然小康状態を保っていると言える。しかしながら、一昨年末あたりから個人消費関連企業の倒産、特に小規模倒産が目立つなど、足元の景気動向は良好とは言い難い。先日、厚生労働省が発表した毎月勤労統計でも名目、実質賃金とも5ヶ月連続マイナスになるなど、消費が上向く傾向は見られず、加えて10月には消費税の増税も予定されており、米中の貿易摩擦問題なども合わせて、先々の景気が冷え込む可能性も否定できない。また、県内の中小・零細企業においては景気動向の問題だけでなく、人手不足や後継者難などの問題を抱えている企業も多く、企業倒産は今後も現状程度あるいはそれ以上のペースで発生する可能性もある。

 

 

 

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