株式会社防長経済新報社

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 2018年11月15日

  • 経済

 平成30年10月度山口県内倒産企業集計

単月の負債総額は平成28年8月度以来の大きさ

1件平均の負債額も昨年7月度以来の大きさで今年最大
平成30年10月度山口県内倒産企業集計
㈱防長経済リサーチ本社

 

 ㈱防長経済リサーチ本社が集計した「平成30年10月度に事実上倒産(負債総額1千万円以上)した企業」は8件・負債総額20億5,800万円で、9月度(9件・3億4,000万円)と比較すると件数は1件減少も、負債総額は17億1,800万円の増加となった。前年同期(3件・1億2,000万円)との比較では件数は5件、負債総額は19億3,800万円の増加となった。
 10月度としての倒産は、ここ10年で件数・負債総額ともに2番目(件数最高は同26年の9件、最少は同27年の2件、負債総額最高は同21年の107億7,300万円、最少は同27年の2,000万円)。平成年代に入ってからの10月度のカウントとしては、件数は11番目の少なさ(最高は同13年の22件、最少は同1年の1件)、負債総額は15番目の少なさ(最高は同17年の116億0,500万円、最少は同1 ・27年の2,000万円)であった。
 原因別は売上不振が6件、過少資本が2件。地区別では下関市が最多の3件、次いで山口市が2件、周南市と柳井市、長門市で1件ずつ。倒産企業の内訳は全て法人(株式4件、有限3件、合同1件)で個人事業体の倒産はなかった。パートを含む従業員数は50人。業種別では先月度に引き続き卸小売・飲食が最多の3件、次いで建設関連業とサービス業が2件ずつ、製造業が1件であった。倒産内容内訳は破産開始決定が6件、法的着手(自己破産申請準備と民事再生申請準備)が2件。10月度に第一回不渡りを発生させた企業体は0件(前月は1件)であった。
※9月度に解散及び清算結了登記(破産解散含)した県内企業は19社(8月度44社)
※9月度に新設法人登記申請は46社(活動実態は不詳、8月度40社)
【今月の特色】
 負債総額は㈱エモト(防府市)の特別清算(負債21億3,000万円)があった平成28年8月度の31億1,100万円以来の大きさとなり、1件平均の負債額も今年最大となった(5億円超の倒産が2件発生)。また、平成26年11月度以来の法人による民事再生が発生した。
【今後の見通し】
 昨年後半あたりから倒産発生のペースが平成27・28年を約5割程度上回る状況が続いている。これまでは小規模倒産が中心であったが、10月度は1億円超の倒産が4件発生するなど負債規模もやや増してきた印象。また、ここ数ヶ月主に個人を対象とした小売や飲食、サービス業などの倒産発生がやや目立つ傾向があり、足元の個人消費の弱さを示す統計となっている。これからは年末、年度末へ向け資金需要が増してくる時期でもあり、諸々の経営コストの上昇や、人手不足などによる売上機会損失、外注費用増加、後継者問題なども併せ、県内の経営環境は決して楽観できるものではない。

 

 

 

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